【流 通】東北大学とAstemo 劣化したプラスチックの強度を回復する新手法開発
プラスチックの大量生産と廃棄は世界的な環境問題となっており、資源循環型社会の実現に向けて高性能プラスチックのリサイクル技術が求められている。しかし使用中に劣化したプラスチックは、分子鎖が切断されるため、再利用しても十分な強度を得ることが難しかった。
東北大学大学院環境科学研究科の大塚光陽大学院生、王真金助教、栗田大樹准教授、成田史生教授らの研究グループは、Astemoと共同で、自動車部品や電子機器に広く使用されるポリブチレンテレフタレート(PBT ※1)に着目し、鎖延長剤(※2)であるPPDI(※3)を用いて劣化した分子鎖を再結合させることで、力学特性を回復する手法を開発した。
最適条件では、劣化によって初期比38%低下した引張強さを94%まで回復させることに成功し、未劣化材料に近い性能を実現しました。さらに、分子量と引張強さの関係がFox-Flory型の理論式(※4)で表現できることを見出した。
この成果は、リサイクル材料の性能回復を経験則ではなく理論的に予測する新たな設計指針を提供するものであり、今後の循環型材料設計への応用が期待される。
※1 PBT(ポリブチレンテレフタレート)
自動車部品や電子機器のコネクタなどに広く用いられるエンジニアリングプラスチック。耐熱性や機械特性に優れる一方、高温高湿環境では加水分解によって劣化する
※2 鎖延長剤(Chain Extender)
切断された高分子鎖同士を再結合させ、分子量や力学特性を回復させるための添加剤
※3 PPDI(1,4-フェニレンジイソシアネート)
イソシアネート基を持つ化合物で、高分子末端と反応して分子鎖を延長する
※4 Fox–Flory型の理論式
高分子材料の特性と分子量の関係を表す理論式。今回の研究では、引張強さと分子量の関係がFox–Flory型の定量関係で表現できることを見出した
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