【流 通】アイルランドの首なし妖精が日本ゲーム等でアンデッド怪物になった経緯解明
大阪公立大学大学院文学研究科のエスカンド・ジェシ准教授(研究当時、早稲田大学高等研究所講師)は、アイルランド民話において「首なしの死を告げる妖精」として知られる「デュラハン」が、日本のファンタジー系ビデオゲームと関連資料のファンタジー事典においては、ゾンビのようなアンデッドや蘇る死者のモンスターへと変容した過程を民俗学と情報メディア学を横断して明らかにした。
多くの怪物が西洋TRPG(※2)を通じて受容された一方で、デュラハンは1980〜1990年代のケルト・ブームを通じて翻訳から直接日本のファンタジー作品に導入された。アイルランドの詩人W.B.イェイツ(1865〜1939)の著作とその邦訳に見られる誤解を起点として、ファンタジー事典や初期国産RPGが像を定着させた。このように誕生した日本独自の「アンデッド・デュラハン」は、後に韓国や中国の作品へも広がり、文化的ハイブリッド化の仕組みを理解する上で大きな意義を持つ。
エスカンド・ジェシ准教授は、「異文化に根を張った現代日本ファンタジーが、モチーフの本来の文化圏でも人気を博しているのは、それらの文化圏では発想し得ない再想像を提示しているからだと思われます。意図的な転覆であれ、不本意な曲解の結果であれ、歴史的意識に縛られない日本の創作者たちは、世界の伝承と想像の世界をまたがって奇抜なアイデアを提供しています。日本のコンテンツが世界的に流行している現状を踏まえると、その学術的探究は喫緊の課題である」と述べている。
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