【アジア】住友林業 インドネシアで熱帯泥炭地の修復と管理の実証事業を開始

住友林業100%子会社のインドネシア住友林業は、インドネシア環境林業省の環境破壊管理総局(PPKL)・泥炭マングローブ復興庁(BRGM)と事業協力協定(PKS)を締結した。インドネシア中央カリマンタン州メガライスプロジェクト(※1)跡地で先端技術を活用した新たな泥炭地管理技術の実証を開始する。日本の環境省とインドネシアの環境林業省で締結した協力覚書(MoC)の下、メガライスプロジェクト跡地のうち約1万haで荒廃した熱帯泥炭地の修復と管理の実証事業を2027年8月まで実施する。植林事業の検証も行い、経済と環境が両立した森林経営を目指す。

この事業は経済産業省グローバルサウス未来志向型共創等事業(大型実証 ASEAN 加盟国)で採択された。住友林業グループはこれまで西カリマンタン州で培ってきた独自の熱帯泥炭地管理技術を活用し、泥炭火災の防止、CO2排出量削減、生物多様性の保全、地域住民の雇用に繋がる取り組みを行ってきた。今回の事業では最先端の衛星・ドローン・AIを使って技術を実証し、一時的な熱帯泥炭地の修復ではなく、持続可能な熱帯泥炭地管理モデルの構築を目標としている。新たなモデルを構築し、世界で唯一の日本の技術を展開することで、国際的な熱帯泥炭地の課題解決やインドネシアの温室効果ガス削減目標(NDC(※2))達成に寄与することを目指す。

今回は住友林業グループの熱帯泥炭地管理技術に最先端の衛星・ドローン・AIを活用した排出削減型の泥炭地管理手法を加えた新たな取り組みに対して技術と経済性を検証する。また熱帯泥炭地管理によるCO2排出削減効果のインベントリ方法論構築(※3)と国際標準化を目指す。


※1 メガライスプロジェクト

1996年にインドネシア政府が食糧問題に対応するため、中央カリマンタン州南部の100万haにおよぶ泥炭湿地林を水田に転換することを目的にプロジェクトを始めたが、泥炭生態系の知見、管理技術の不足から失敗に終わった。その後の度重なる泥炭火災によって、森林がごく一部を残して消失した

※2  NDC (Nationally Determined Contribution)

(国が決定する貢献)パリ協定に基づき各国が作成・通報・維持しなければならない温室効果ガスの排出削減目標

※3 インベントリ方法論構築

一国が1年間に排出・吸収する温室効果ガスの量を取りまとめたデータ。CO2、N2O、メタンなどの温室効果ガスの種類や活動によって排出、吸収する収支を示すデータ算出方法を構築


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