【アジア】双日 タイに子会社を設立 アグリプラットフォーム事業に参入

双日は、タイに子会社Sojitz Kaset Dee X(カセット ディー エックス 以下 KDX)を設立した。2024年秋よりキャッサバ(※1)農家向けを手始めに営農支援サービスや農業資材、農機、ファイナンスなどを提供・販売するアグリ(農業)プラットフォーム事業に参入し、農家の豊かさ向上に繋がる効率的で持続可能な農業の実現に取り組む。

双日は前身の日商岩井が1973年にタイで、高度化成肥料製造のThai Central Chemical Public Company(TCCC)を設立して以来、農村部で肥料の効果的な使用方法を普及しながら、農作物生産と農家収入の拡大に貢献してきた。一方、農家の経済力低迷や、少子高齢化に伴う農業人口の減少など、農業を取り巻く課題は今後も継続していくことから、2021年よりタイを中心とする地域で、データに基づく効率的な営農手法の確立や収穫量の増加を目指す実証に取り組んできた。また農業分野で権威のあるカセサート大学(※2)とも、キャッサバの収穫量と品質向上に向けた連携も進めている。

キャッサバはタイにおけるサトウキビ、コメに次ぐ生産高第3位の主要農産物で、農家数は約76万世帯を有する。小規模な家族経営の農家が多く、資金面から十分な農業資材を購入できない、農地の拡大が難しい、肥料など営農に関する知識に乏しく従来農法を継続している、といった課題がみられる。KDXの社名は、タイ語で、「農業(Kaset)をよりよくする(Dee)、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて」を意味する。タイ農家に親しみ易いネーミングとし、さらにDXと無限大を意味するXを掛け、プラットフォームを利用する農家とともに、「よりよい農業」の実現を目指す。

KDXはまず、キャッサバ農家の課題に対して解決策となる総合的な営農支援サービスを提供する。ユーザーとなる農家は、資金負担を抑えた形で肥料や苗などの資材の提供や営農に関するアドバイスを受けることができ、収穫量増加を目指す。作物シミュレーターを活用し、土壌データ、天候データなどを元に、適切な肥料の選択、量、タイミングといったデータに裏付けされた解決策などが提示される。更には、双日独自開発のアプリを活用して蓄積した、ユーザーの農地や保有機材、資材や作物の生育状況、収穫量などのデータを元に、作物加工会社や農業資材・農機メーカー、金融機関などが農家に対して、商材・サービスをプラットフォーム経由で提案・提供する予定にしている。


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