【知 識】サイキンソーとメタジェン 「腸内環境ヘルスケア協会」設立準備室を発足

サイキンソーとメタジェンは、腸内環境検査業界の発展と信頼性の向上を目的とする業界団体「腸内環境ヘルスケア協会」の設立、および自主規制ガイドラインの策定を目指し、業界団体設立準備室を発足した。2024年中の団体設立に向け活動が本格始動した

近年、腸活を取り入れるライフスタイルが普及し、腸内環境と心身の健康との関連について消費者の関心が高まっている。腸内環境の学術的エビデンスも増加しており、腸内細菌が食物繊維などをエサにしてつくりだす短鎖脂肪酸(※1)などの代謝物質の健康効果も注目され、機能性表示食品などの腸活関連市場も拡大している。多くの消費者にとって腸内細菌の存在が身近になったことで、自身の腸内環境を評価して生活習慣改善のヒントが得られる一つの方法として腸内細菌叢(※2)検査のニーズも高まっている。

一方で、腸内細菌叢検査には検査フローや品質に関する規格が存在せず、現状では各々の検査事業者の自助努力に委ねられている。また細菌叢検査を含む腸内環境検査全般は、一般消費者にとって結果の理解と解釈が難解であるという指摘もある。さらに複数の検査手法があるため、同一検体の検査であっても検査手法によっては結果が一致しない場合もあり、消費者が理解し得る正しい情報を届けることには細心の注意と丁寧な説明が必要になると両社は考えている。

また、腸内環境検査の結果から、自身の生活習慣改善へのアドバイスを求める消費者ニーズも高まっているが、腸内環境は一人ひとり異なることから、画一的なアドバイスだけでは十分とは言えず、個々人の腸内環境に合わせて層別化したアドバイスが求められている。

サイキンソーとメタジェンは、腸内環境検査の精度管理および一般消費者保護の観点から、業界として一定の指針・ルール作りが必要で、業界標準の開発によって、業界の信頼性向上、並びに新規事業者にとっても安心して参入できる土台を築くことで、業界全体の発展にも貢献できるものと考えている。さらに、海外でも同一の指摘がされていることから、将来的には国際標準の開発によって日本の検査事業者からグローバルスタンダードを生み出し、国際的に展開していくことを見据えている(※3)。


※1 短鎖脂肪酸

腸内細菌が産生する酪酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸のこと。大腸粘膜組織から吸収されてエネルギー源として利用されるほか、ヒトの免疫の恒常性を保つなど、様々な生理効果を発揮することがわかっている

※2 腸内細菌叢

ヒトの腸内に生息する細菌の集合体のこと。数百から千種ほどの腸内細菌が生息しており、ヒトの健康や疾患と密接に関係している

※3 :Diane E. Hoffmann et al., The DTC microbiome testing industry needs more regulation, Science. 2024 Mar 15;383(6688):1176-1179.

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