【流 通】DNP 「服薬サポートサービス」の実証実験を三重県で実施

大日本印刷(DNP)は患者の服薬状況をオンラインで確認できる「服薬サポートサービス」を利用して、DNPが取り組む三重県での広域連携モデル「美村(びそん)」プロジェクトと連携した実証実験を開始した。「美村」は三重県中・南部の多気町・大台町・明和町・度会町・紀北町が連携し、5町で1つの仮想自治体として、共通のデジタルシステムを活用した魅力的な地域づくりを推進している。

今回、「服薬サポートサービス」の実証の第一弾として、服薬サポートサービス の有用性や診療所や薬局での運用課題などを調査する実証実験を2023年3月〜5月に大台町で実施した。2024年度には、対象エリア・規模を拡大した実証実験を予定にしている。

高齢化等によって在宅医療を受ける患者が増加するのに対して、医療従事者不足などの課題が顕在化している。そうした中で在宅での医薬品の服用状況を把握するには、患者の自己申告や事後の確認などに頼る必要があるため、不必要な薬の追加処方、不要な残薬の発生、患者の服薬離脱などにつながる可能性もあった。こうした課題の解決に向けてDNPは2017年に、服薬状況を管理するデバイスとして「服薬管理カレンダー」を開発した。その後、過疎化・高齢化が進む地域で生活習慣病の薬物治療を対象とした実証実験を進める中で、同デバイスの使用だけでは、医療従事者が患者に介入して服薬の適正化を図ることは難しいという課題も見えてきた。

今回の実証実験では、薬剤師が「服薬管理カレンダー」を通じてオンラインで服薬状況を把握し、診療所や薬局を連携した。行外来診療の際には、この情報をもとに医師や薬剤師が指導した。今後、薬剤師が服薬状況をモニタリングする際に、服薬の漏れや間違いを患者にその場で伝えるなど、患者の自立を促すような服薬支援を行うことを目指す。

DNPは今回の成果を踏まえ、2024年に「美村」の複数の診療所・病院・薬局と連携して、薬剤師から患者へのオンラインでの指導を含む第二弾の実証実験を行う予定にしている。主に高齢化が進む地域での生活習慣病の薬物治療を対象とし、「服薬サポートサービス」の実用化を進め、治療継続率の向上による重症化予防などを支援する。


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