【知 識】日本製鉄と北海道森町 ビバリーユニットを施工

日本製鉄は豊かな海を取り戻すため、森から海へと供給される鉄分を人工的に生成する「ビバリーユニット」(※)を開発し、2004年から全国44カ所の沿岸へ提供を行ってきた。2023年度最初の取り組みとして、日本製鉄は、北海道函館市近郊の森町と共同で、町内の森漁業協同組合、砂原漁業協同組合の協力のもと、同年8月29日よりビバリーユニットを施工した。

北海道森町は町の基幹産業であるである水産業から発生するホタテ貝殻の再利用先について、これまで検討を行ってきた。今回、日本製鉄と共同で藻場造成の着生基質となる人工石の骨材に、ホタテ貝殻を混合利用する。この取り組みを通じて、磯焼け解消による藻場再生の効果を評価するとともに、未利用資源であるホタテ貝殻の有効活用による循環型社会の構築、持続的な事業モデルの確立を目指す。

日本製鉄が取り組んできた「海の森プロジェクト」により、これまでに多くの「ビバリーユニット」適用海域で藻場が再生・回復するとともに、漁獲高向上の効果も報告されている。また近年では、気候変動や地球温暖化の原因とされる大気中のCO2を海草や海藻が大きく吸収しているブルーカーボン(海洋生態系によるCO2 の吸収・固定)効果が分かってきており、藻場の回復・造成が新たな地球温暖化防止対策としても大きな潜在効果を持っていることが注目されている。


※ ビバリーユニット

鉄鋼スラグと廃木材チップを発酵させた腐植土を原料とした鉄分施肥材のこと


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