【流 通】雨後のキノコの電気的な会話を測定

菌根菌(※)は土壌中に菌糸のネットワークを張り巡らせ、植物の根と共生関係を築くことで森林生態系の維持に重要な役割を果たしている。菌根菌の菌糸を介した植物間のシグナル伝達は世間の注目を集めているが、科学的なデータは多くない。

東北大学農学研究科の深澤遊助教と長岡工業高等専門学校の武樋孝幸講師、赤井大介本科生、京都大学白眉センターの潮雅之特定准教授(現 香港科技大学助理教授)の研究グループは、森林の地上から発生した外生菌根菌オオキツネタケのキノコ(子実体)に電極を設置し、雨の後にキノコの電気的な活性が変化しそれが維持されることを野外で初めて測定することに成功した。

キノコ間での電位の変動パターンに有意な因果関係が確認されたことから、キノコ間で電気シグナル伝達が起こっている可能性があることが示唆された。

菌根菌は土壌中に菌糸ネットワークを張り巡らせ、多数の植物個体の根と共生関係を築くことで植物個体同士をつないでいるため、菌根菌を介した植物個体同士のシグナル伝達など、菌類が関わる生態学的役割の解明につながると期待される。


※ 菌根菌

植物の根に菌糸を侵入させ、菌根と呼ばれる共生体をつくる。菌根菌は土壌中から水や養分を集めて植物に供給し、植物は光合成産物である糖を菌根菌に提供する相利共生関係にあることが多い


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