【流 通】五洋建設 土質定数推定システム"サウンディングAI"を開発

五洋建設は、地盤のサウンディング結果から人工知能(AI)を用いて土質定数を推定する技術"サウンディングAI"を開発した。

"サウンディングAI"は、専門技術者の能力や経験に頼ることなく、高精度に地盤強度の指標「N値」と土質分類の指標「細粒分含有率(Fc)」を推定できる。追加調査で"サウンディングAI"を通常のボーリング調査に代替した場合、経済性は23%向上、期間は35%短縮されます。また、技術者の負荷や人為的ミスの削減、作業の効率化も期待できる。

サウンディングは抵抗体を地中に貫入し打撃や回転等の負荷を与えることで得られる様々な抵抗値から土質定数を求める。標準的な地盤調査法として世界で広く普及している電気式コーン貫入試験(CPT)や、薬液注入工やアンカー工において削孔時の回転トルクや掘進スピードから土質定数を推定するロータリー式サウンディング(RST)等が利用されている。一般的にサウンディングで得た抵抗値から、経験に基づく実用式や図表等を使い、近隣のボーリング調査結果も参考にしつつ、技術者が総合的に判断し土質定数を推定する。

"サウンディングAI"は、CPTおよびRSTの2種類のサウンディングについて、N値とFcを推定できるAIモデルで、機械学習手法の一つであるディープニューラルネットワーク(DNN)を用い、過去10年分(約1800個)のサウンディングデータをボーリング調査結果や各種土質試験結果と合わせて学習させるほか、これまで着目していなかった貫入履歴も用いている。さらにN値とFcの相関を考慮したマルチタスク学習を採用した結果、技術者の知識や経験では捉えられなかった特徴量の抽出が可能となり、推定精度が向上した。東京国際空港で行った検証では、N値の推定誤差(二乗平均平方根誤差)が4.3という結果を得た。

"サウンディングAI"を適用したRSTは、既に10件の薬液注入工事で実績がある。薬液注入工では薬液の流出や地表面の隆起を防ぐため、Fcに対して注入速度を適切に管理する必要があるが、"サウンディングAI"により削孔毎にFcを求められるため、従来と比べてより詳細に注入速度管理を行えるようになった。


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