【アジア】住友林業 カリマンタン島でマングローブの保全事業を開始

住友林業は、9,738haのマングローブ(※1)の森林を保有・管理するインドネシアのBIOS社の株式を100%取得し完全子会社とした。住友林業グループは長期ビジョン「Mission TREEING 2030」で「循環型森林ビジネスの加速」を掲げ、2030年までに国内外で保有・管理する森林面積を50万haまで拡大することを目標にしている。BIOS社の事業を加えると保有・管理する森林面積は約29万haになる。世界的にも貴重な生態系であるマングローブを「保護林」として管理しCO2排出を削減、ブルーカーボン(※2)・クレジットの創出を目指します。連続する生態系である海岸沿いのマングローブから内陸部の泥炭地、熱帯林を含めた広域的な生態系保全事業に取り組む。

西カリマンタン州のマングローブは違法伐採による木炭生産等の影響で多くの森林が失われてきた。住友林業グループは海と陸にまたがるマングローブの適切な管理モデルを構築する。伐採と植林のサイクルを回す「経済林」として活用するのではなく、荒れた部分を植林したうえでマングローブの自然資本価値を高める「保護林」として保全していく。BIOS社のマングローブの炭素固定量(樹木と土壌に固定されているブルーカーボン)は約6,600万t-CO2と推計される。

ブルーカーボン生態系として世界的に注目されるマングローブに蓄えられる炭素を維持してCO2の排出を削減。樹木や土壌が吸収・固定する炭素量を高い精度で計測し、さらに海底に隔離されるブルーカーボンの推定技術を確立することで、質の高い炭素クレジット創出を目指す。生物多様性の維持や水質浄化、保水・水循環機能を向上させてネイチャーポジティブ(※3)を実現する。

住友林業グループは西カリマンタン州の泥炭地で持続的な木材生産と生態系保全の両立をランドスケープレベル(※4)で実現してきた。地域経済の持続的な発展への貢献に加えて、森林経営で培われたノウハウを活用し、海と陸の境にあるマングローブから内陸部にある泥炭地・熱帯林を連続する生態系とみなして広域的な生態系保全事業に取り組む。


※1 マングローブ

熱帯および亜熱帯地域の海水と淡水が混じり合う水域で生育している植物の総称。構成する植物は110種以上あるといわれている

※2  ブルーカーボン

2009年に国連環境計画(UNEP)によって命名された海草藻場、海藻藻場、湿地・干潟、マングローブ林の「海洋生態系」に取り込まれた炭素のこと

※3 ネイチャーポジティブ

生物多様性の損失を止めて反転させ、回復軌道に乗せること。

※4 ランドスケープレベル

自然環境と地域住民、企業活動をより広い範囲でとらえて生態系を保全する考え方


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