【流 通】衛星で斜面やインフラの変動リスクをモニタリングするサービスの提供開始

スカパーJSAT、ゼンリンと日本工営は、衛星データを用いて、斜面や盛り土等の土構造物、道路や埋め立て地及び周囲のインフラの経年的変状を、ミリメートル精度でモニタリングする法人および自治体向けサービス「LIANA(Land-deformation and Infrastructure ANAlysis)」(商標出願中)をリリースした。

昨今、広域的かつ同時多発的に発生する豪雨災害や、高度成長期以降に整備されたインフラの老朽化が大きな社会問題となっている。加えて対策に係るコストや人手不足の課題も深刻になっている。これらに対し、平常時にLIANA を利用することで、一度に広域かつ低コストにモニタリングを行い、利用者の予防保全の意思決定をサポートできる。

LIANAは3社が2020年に発表した「衛星防災情報サービス」で提供する商品の1つで、SAR(※1)画像における解析ツールの開発に強みをもつスカパーJSATが解析を担当し、利用者が確認したいエリアの地盤変動を時系列で表示し、その危険性を国土交通省の地盤伸縮計における基準(※2)および日本工営による知見に基づき評価する。日本各地の斜面や地すべり、道路、空港等で実証を重ね、実地測量データと突合することで精度検証を実施している。

結果が提供されるWebシステムには、利用者が視覚的に分かりやすく、管理業務の中にも組み込めるノウハウを日本工営が提供、ゼンリンの詳細な地図データを実装し、Web UIをスカパーJSATが開発した。これにより利用者は危険エリアの周囲への影響を把握することができる。

衛星画像を活用することで、測量だけでは把握しきれなかった数十キロメートル四方の広域エリアを、一度にスクリーニングすることができるため、これまで法人や自治体が保守および点検にかけてきたコストを低減することもできる。このように平常時からのモニタリングで能動的な管理・対策が可能になる。


※1 SAR(Synthetic Aperture Radar)

合成開口レーダー。地表にマイクロ波を照射し、反射して返ってきた信号を分析することで地表の画像を得るレーダー。雲や噴煙を透過し、昼夜や天候に関係なく地表の状況を把握することができる


※2「地すべり防止技術指針及び同解説,国土交通省砂防部(平成 20 年 4 月)P.29、P.80」の地盤伸縮計における基準


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