【流 通】タニタと城東テクノ 住宅の床に埋め込める体組成計を開発

タニタは城東テクノと共同で、体組成計付き高気密型床下点検口「NORNE(ノルネ)」を開発し、城東テクノが発売した。床下のメンテナンスに不可欠な床下点検口と体組成計を一体化することで、フラットな床面に体組成計の機能を組み込める。これにより計測する際にその都度体組成計を出し入れする必要がなくなり、日常の生活動線の中で手軽に健康管理に取り組める。タニタでは体組成計測の中核技術である体組成計向け「タニタアルゴリズム」(※)の外部提供を進めており、今回の共同開発もその一環で、異業種への提供は初めて。

「NORNE」の開発にあたって、タニタは体組成計の機能部分を担当した。計測するとき以外は「床」として踏まれるため、耐久性を高める必要がある。そこで業務用の機器と同等の部品を使用するとともに設計を工夫することで、「体組成計」としての精度・機能と「床」としての安全性を両立させた。計測項目は「体重」「体脂肪率」「筋肉量」「筋質点数」「内臓脂肪レベル」「推定骨量」「基礎代謝量」「体内年齢」「体水分率」「BMI」の10項目で、計測データはブルートゥース通信でスマートフォンに転送し、対応のアプリで管理することができる。生活動線で自然に計測できることに加え、からだの経時変化を「見える化」することにより、健康管理の習慣化を促す。住宅のIoT化が進む中、これまでにないヘルスケア領域の価値を提案していく。

体組成計はメーカーごとに独自のアルゴリズムを搭載していることから、「体脂肪率」や「筋肉量」などの計測数値がメーカーごとに異なっている。こうした状況はユーザーの利便性を低下させるだけでなく、医療・健康データを一元管理するデータヘルスを推進する上でも障害となる。タニタはこの問題を解決するため、体組成計向け「タニタアルゴリズム」の外部提供を2020年より開始した。2021年には同アルゴリズムを搭載した家庭用体組成計がエー・アンド・デイから発売されている。また2020年には歩数計・活動量計向け「タニタアルゴリズム」のうち消費エネルギー量を計算するアルゴリズムをスクウェア・エニックスのスマートフォン向け位置情報ロールプレイングゲーム『ドラゴンクエストウォーク』へ提供している。


※ 体組成計向け「タニタアルゴリズム」

現在普及している家庭用体組成計の多くは生体インピーダンス(BIA)法という計測技術を用いている。BIA法はからだに微弱な電流を流し、その電気抵抗値と体重、身長、性別、年齢などから統計学的な回帰分析を行い、体脂肪率や筋肉量などの体組成を推定する。この回帰分析を行う計算式がアルゴリズムで、体組成計の計測精度を司る中核技術といえ、メーカーごとに独自に開発している。「タニタアルゴリズム」はタニタが1992年に世界初の乗るだけで計測できる体脂肪計を発売して以来、国内外合わせて1万5000件以上の生体データを収集して開発した。体組成計測のゴールドスタンダードと高い相関を実現している。医療現場でも活用されており、累計で200件を超える学会発表論文でも採用されている。


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