【流　通】富士フイルムとダイキン工業　空調機の新たな静音化技術を実用化

富士フイルムとダイキン工業は空調機の新たな静音化技術を実用化した。これは富士フイルムが、＂風は通し、音は通さない＂というコンセプトで開発した通風防音材による静音化技術で、ダイキン工業はこの技術の実用化に向けて、加湿・換気機能付きエアコンに通風防音材を実装した結果、加湿・換気量を確保しながら運転時の送風音を２０％以上（※１）低減することができた。

今回の新たな静音化技術の実用化は、両社が２０１９年より取り組んできた、空調機の静音化をテーマとした共同開発の成果の第一弾となる。 今後、空調機は新興国を中心に普及が急速に進展（※２）すると言われている。そのために一層の省エネ化や省資源化が必要とされるとともに、機器の静音化についても高いレベルが求められる。

近年、快適な環境を提供する空気質の向上へのニーズがますます高まる中、空調機にはより多くの換気が求められている。しかし空調機の換気量を増やすと空気の送風音も大きくなる。 ダイキン工業の加湿・換気機能付きエアコンは屋外から取り込んだ空気を、室内機と室外機をつなぐ搬送ホースを介して室内へ送っている。加湿・換気量を増やすためには、搬送ホースの口径を大きくすることが必要だが、搬送ホースと冷媒配管を通す壁の貫通穴の大きさが決まっているため、口径を大きくすることはむつかしい。このような制約の中、ダイキン工業はこれまで高性能な換気ファンを開発・搭載することで、加湿・換気量を確保しながら送風音を低減し、静音化を図ってきた。

２．　新静音化技術の開発： 静音化技術は富士フイルムがメタマテリアル（※３）を用いて光の波動を制御する技術（メタマテリアル技術）を音響分野に応用して通風防音材により開発し、これまで困難であった、換気に必要な通風量の確保とそれによって発生する送風音の低減の両立を実現した。 ダイキン工業は自社の高性能な換気ファンを生かしつつ、富士フイルムの通風防音材を適用することで更なる静音化を実現した。加湿・換気機能付きエアコンに通風防音材を実装した結果、加湿・換気量を確保しながらも運転時の送風音を２０％以上（※１）低減した。 

 今回の成果を踏まえ、ダイキン工業は実用化した通風防音材を「加湿・換気静音キット」とし、発売中の２０２２年ルームエアコン「うるさら　Ｘ」「うるさら　ｍｉｎｉ」のオプション品として２０２２年春より販売する。無給水加湿機能に加え、給気・排気換気機能を充実させた商品の付加価値をさらに高める。

※１　換気強設定、送風モード静か運転時、加湿・換気静音キット装着有・無で送風音を比較して約２０～３０％低減（ＪＩＳ測定位置での冷房能力２．２～９．０ｋＷの機種の送風音低減効果） 

 ※２　国際エネルギー機関（ＩＥＡ）のテクノロジーレポート「Ｔｈｅ　Ｆｕｔｕｒｅ　Ｏｆ　Ｃｏｏｌｉｎｇ」では、世界の空調機の稼働台数は今後３０年で約３倍に増加し、世界の約２／３の世帯が空調機を利用するようになる見通しであると報告されている 

 ※３　メタマテリアル 波長よりも小さな構造体で自然界の物質では成しえない波動特性を得る人工物質

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