【物 流】シャープと豊田自動織機 新技術で自動倉庫の出庫計画算出の基盤技術を確立

シャープと豊田自動織機は、疑似量子アニーリング(Simulated Quantum Annealing:SQA)技術を活用し、自動倉庫において最適な出庫計画を算出するための基盤となる手法、および計算モデルを共同で確立したと発表した。両社は同成果に関し、共同で特許出願中である。

近年、物流業界ではECの拡大などによる荷量の増加を背景に物流センターの大規模化が進む一方で、人手不足がさらに深刻化し、多台数の自動物流機器を活用した省人化・効率化へのニーズが急速に高まっている。しかし、こうした機器を効率的に運用するためには、倉庫の設備能力や品物の出荷期限、搬送経路、在庫の配置など多数の条件を考慮した搬送計画が必要であり、その組み合わせ数が膨大になることから、計画作成に要する時間が課題となっている。

シャープは、膨大な数の組み合わせから最適解を高速で割り出すSQA技術の開発に取り組んできた。特に同技術を自動搬送ロボットの多台数制御および経路最適化に適用し、自動倉庫の運営効率化に向けた知見を蓄積してきた。一方で豊田自動織機は、自動運転フォークリフトや自動倉庫、高速仕分けシステムなどを組み合わせた物流ソリューションを幅広く展開しており、倉庫や工場、配送拠点など、多様な物流現場において自動化・効率化のノウハウを積み上げてきた。

今回の取り組みでは、豊田自動織機の物流ソリューションで構成する大規模物流センター(取り扱い荷量1日10万個以上)において、出庫計画の算出にシャープのSQA技術を適用し、有効性を検証した。両社は検証にあたり、設備能力や出荷期限など出庫経路の選択に影響する各条件を数値化し、重要度に応じて重み付けすることで、物流現場のさまざまな条件を総合的に評価できる手法を考案した。さらにSQA技術を用いた計算によって最適な出庫計画が短時間で得られる計算モデルを構築した。

検証の結果、最適な出庫計画を算出するまでの計算時間を、従来の計算手法から約5分の1に短縮できることを確認した。これにより、作業者の待ち時間削減や搬送の整流化といったさまざまな効率化が期待できるほか、出庫計画に加え、入庫計画や在庫配置などの要素を含む、より大規模で複雑な条件下においても、最適解を高速に導出できる見通しが得られた。

今後、両社は同技術の社会実装に向け、実運用環境での検証を進めるとともに、適用領域の拡大を図る。


製品名および会社名などは、各社の商標または登録商標です