【流 通】環境水中の精液由来RNAの定量により魚類の繁殖を検出する手法を確立
東京大学の研究グループ(※1)は、飼育水中に存在する精液由来のRNAを調べることで、メダカの繁殖行動を、水をとるだけで検出する手法を開発した。
水中には、生物が放出あるいは体から落脱した組織などに由来するDNAやRNAが存在しており、これらを調べることで「どこにどのような生物がいるのか」を明らかにする環境DNA(※2)研究が近年盛んに行われている。今回の研究では、メダカの精液に特異的に含まれるRNA(klhl10 ※3)を同定し、飼育水中のklhl10 mRNAを連続的に定量することで、klhl10 mRNAの存在量がメダカの繁殖行動と密接に関連することを示した。
この結果は、水中のRNAを解析することで、繁殖をはじめとする生物の活動や生理状態を明らかにできる可能性を示しており、今後水生動物の生態解明、多様性や水産資源の保全などへの貢献が期待される。
※1 東京大学の研究グループ
東京大学大学院農学生命科学研究科の網中結仁大学院生(研究当時)と同大学大気海洋研究所の黄國成助教、兵藤晋教授、水産研究・教育機構の矢田崇グループ長(研究当時)による研究グループ
※2 環境DNA
生物から環境中に放出されたDNAの総称。水中では、生物から放出された生物片(魚類の場合、鱗や粘液など)に含まれるDNAを調べることによって、そこに生息した生物を特定できる
※3 klhl10遺伝子
哺乳類では精巣中に存在する精細胞に特異的に発現して精子形成に関わると考えられており、この遺伝子の変異は雄の生殖能力に影響を与えることが知られている
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