【知 識】ヤマハ発動機など リモートセンシングを活用した森林情報取得・解析で協業

ヤマハ発動機は、王子ホールディングスと信州大学発のベンチャー企業、精密林業計測と共同で、リモートセンシングを活用した森林情報の取得と解析に関する共同実証を開始した。

近年、林業現場では人手不足や高齢化、安全性の確保など多くの課題が顕在化しており、効率的かつ持続可能な森林管理の実現に向けて、デジタル技術の活用が求められている。なかでも森林情報の取得は、現地調査に多くの時間と人手を要し、広範囲かつ詳細なデータの収集が難しい。

ヤマハ発動機などの取り組みは、こうした課題に対応する林業DXの一環として、従来の現地調査や先行するリモートセンシング技術では把握が難しかった単木単位の詳細な森林情報の取得を目的に、共同実証を行われる。

実証は、王子グループが保有する複数の国内社有林で実施される。ヤマハ発動機の産業用無人ヘリコプターが広域レーザ計測を実施し、得られた森林情報を精密林業計測が解析する。

3社は既に、岐阜県内の王子グループの社有林で実証実験を行っており、樹種・樹高・直径・材積・位置情報などを一括で可視化することに成功した。地形や水系に応じた樹種分布や、大径木(※1)の効率的な抽出が確認され、森林整備や資源管理の精度向上が期待される。またコナラやクリなど、野生動物の餌となる堅果類(※2)の分布も把握でき、生態系や野生動物管理にもつながる。

今回の取り組みが実用化されれば、現地調査の大幅な省力化が可能となり、作業中の事故や野生動物との遭遇リスクの軽減など、安全性の向上にもつながる。またカーボンニュートラル社会の実現に向け、将来的にはCO2固定量算出やJ-クレジットへの展開も視野に取り組んでいく。

※1 大径木(だいけいぼく)

胸高直径が大きい樹木。丸太にする場合には一般的に30cmを超えるものを指して使われることが多い

※2 堅果類(けんかるい)

堅い殻に覆われた果実。一般的にはドングリ、クリ、クルミ、ナッツ類などを指す


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