【流 通】スピーカーの原理を応用し振動をエネルギーに変換する環境発電の実証に成功
JVCケンウッド・公共産業システムは、京都大学の八木知己教授、西野朋季特定研究員を中心とした研究グループおよび建設技術研究所と共同開発している、スピーカーの原理を応用して振動を電気エネルギーに変換する環境発電(エネルギーハーベスト)について、橋梁での実証実験を実施し、発電に成功した。
今後は、エネルギーハーベスト機能付き電磁自立型センサーの開発を推進し、橋梁をはじめとする社会インフラの維持・保守管理における省人化やコスト削減への貢献を目指す。
日本の社会インフラの多くは高度経済成長期(1960〜1970年代)に整備されたため老朽化が問題となっており、安全な運用の維持が課題となっているが、自治体では財政難や技術職員の不足により、対応が困難な状況にある。そのため現在、国や自治体は社会インフラの設備・施設を管理する手段の一つとして、センサーを活用してインフラ設備の状態をモニタリングする技術の導入を進めている。しかしセンサーは小型・軽量で設置場所が限定される上、配線工事や電池交換が必要となり、電力供給が課題となっている。そこで近年、身の回りの微量なエネルギーを電力に変換し、電池や外部電源を使わずに機器を動かすことを可能にする環境発電(エネルギーハーベスト)技術への関心が高まっている。
JVCケンウッド・公共産業システムは2024年4月より、京都大学橋梁工学研究室と共同で、社会インフラの中でも振動があり、損傷が軽微なうちに補修をする予防保全の効果が高い橋梁での実用化を目指し、同社のダイナミック型スピーカーの音響技術原理を応用した低周波振動によるエネルギーハーベスト技術の研究開発を開始した。2025年1月には建設技術研究所も参画し、現在は3者共同で同技術の開発を推進している。
実証実験では、自動車が橋梁を通過した際に生じる振動を利用してエネルギーハーベスト技術による発電が可能であることを検証した。その結果、エネルギーハーベストにより数十Vの電圧が得られ、従来の技術では困難であった低周波領域での振動発電が実現できることを実証した。
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