【環 境】富士電機と三菱ガス化学 水素燃料電池システム共同実証に向け検討開始
富士電機と三菱ガス化学は、燃料電池とメタノールを原料とする水素生成器を統合した発電システムの共同実証に向けた検討を開始した。両社の強みを結集し、水素燃料電池を幅広い地域・施設に向けて提供することを目指す。
GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けて、水素と酸素を化学反応させて電気を発生させる水素燃料電池は、CO2を排出しないクリーンな発電方式として期待されている。しかし、燃料である水素の貯蔵・輸送に関する技術の確立やコスト面での制約が、課題とされる。このような中、水素キャリアの一つであるメタノールは、常温常圧下で液体であるため貯蔵・輸送が容易で、既存インフラの活用が可能であることから、メタノールを用いて消費地で水素を生成する手法が有力な選択肢として期待されている。
富士電機は1998年に、産業用燃料電池を製品化した。これまで庁舎や病院、大学など国内外で100台以上納入し、燃料電池システムとして20年以上の運転実績を有している。ここで培ってきた燃料電池の製造技術やパワーエレクトロニクス技術を活かし、トヨタ自動車の燃料電池自動車「MIRAI」に搭載される水素燃料電池モジュールを使用した、低コストで高い応答性を実現する水素燃料電池システムの開発を進めている。
三菱ガス化学は世界でも屈指のメタノール総合メーカーで、メタノールの製造から販売、用途開発までを一貫して行っている。近年では、CO2やバイオマス等から生成したグリーンメタノールを軸とした環境循環型プラットフォーム「Carbopath」に関して、社会実装に向けた取り組みを進めている。同社はメタノール改質水素製造技術を40年にわたり培っており、メタノール改質による水素利活用を加速するべく、Methanol ReformerとElement 1との戦略的提携のもと、ユニット型水素生成器の国内実証を検討している。
両社は技術と知見を融合し、メタノールから水素を生成し発電するまでを効率的かつ低コストに行う「メタノール改質型水素燃料電池システム」の商用化に向けた実証(2026年度中に開始予定)の検討を始める。
同システムでは、「Carbopath」によるグリーンメタノールを利用することで、メタノール改質時に水素と共に発生するCO2をオフセットすることが可能である。これによりクリーンエネルギーとして、データセンターや工場などにおける停電時のバックアップ電源やピークカットのための発電システム等、効果的な用途への適用に向けた市場開拓と創出を推し進める。これらの取り組みを通して、幅広い地域・施設でのクリーンエネルギー供給の実現を目指す。
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