【流 通】カネカ 気管支拡張用バルーンカテーテル「SUKEDACHI」発売

カネカは大阪大学との共同研究成果を基に開発した気管支拡張用バルーンカテーテル(商品名:SUKEDACHI(R))の販売を、2025年6月から開始した。同社のバルーンカテーテルをはじめとした精密成形技術と、大阪大学大学院医学系研究科の臨床・非臨床試験に関する豊富な経験を融合することで製品化に至った。

「SUKEDACHI」は、肺がん診断を目的とした気管支鏡検査(※1)用途に開発された。バルーンで気管支を拡張することで気管支鏡の通り道を作り、病変近傍まで気管支鏡を到達させて生検を行う「バルーン併用気管支鏡送達法(BDBD:Balloon Dilatation for Bronchoscope Delivery)」で使用される世界初めての製品。バルーン併用気管支鏡送達法は、大阪大学大学院医学系研究科の三宅浩太郎助教が考案した技術であり、カネカがこの技術の実用化に成功した。

日本では呼吸器系疾患の患者数は700万人以上で、そのうちがん死亡数第一位である肺がん患者数は約33万人にのぼる(※2)。「SUKEDACHI」は、従来到達困難であった肺の奥深くまで気管支鏡を送達させることが可能になり、病変の診断精度の向上が期待される(※3)。また、病変付近まで気管支鏡を届けられる特長により、患者の負担を軽減する気管支鏡下治療(※4)への応用が可能になるなど、今後の用途拡大が期待される。


※1 気管支鏡検査

気管支鏡(気管・気管支内をのぞき見る内視鏡)を使って気管・気管支内を観察すると共に、組織や細胞を採取して正確な診断をつける検査。

※2 令和5年(2023)「患者調査の概況」(厚生労働省)。

※3 胸部異常陰影2cm未満のがんの診断率について、従来法は34%(※5)に対し、SUKEDACHIを用いた気管支鏡検査の当社臨床成績は77.8%を達成。

※4 気管支鏡下治療

気管支鏡を使って気管・気管支の狭窄を拡張したり、がん細胞を焼灼したりする治療

※5 日本肺癌学会,2023,「肺癌診療ガイドライン2023年版」,3.確定診断CQ9,2025年6月10日取得


・製品名および会社名などは、各社の商標または登録商標です