【流 通】量子コンピューティングと数理最適化を活用した配送ルート作成システム開発

伊藤忠テクノソリューションズ(以下 CTC)、TriValueとエー・スター・クォンタムの3社は、量子コンピューティングと数理最適化の技術を活用した配送ルート作成サービス「OptyLiner(オプティライナー)」を共同開発した。物流企業のTriValueとの実証実験で、荷主の特性や地域情報を熟知した熟練職員が手作業で3時間かかっていた配送計画の作成時間を約95%削減し、熟練職員と同等以上の配送計画作成を10分以内で完了できることを確認した。物流業界の課題である配送計画の作成の効率化やCO2削減などに貢献する。家具、建材、家電など配送先での作業が発生する製品を扱う企業を中心に展開し、作業者のスケジュールまで含めた高度な配送計画の策定を支援する。

物流業界では、ドライバー不足や働き方改革による労働時間の制限、CO2排出量の削減などの課題に直面し、効率的な配送計画の策定が重要となっている。精度の高い配車やルートの計画は、熟練職員がドライバーの負担や特性に配慮しながら試行錯誤している。また精度の高い配送ルートの策定には時間がかかり、受注を早めに締め切る必要があることから、空車が生じることもある。

OptyLinerは、車両の積載量や台数、ドライバーの労働時間など、複数の条件を考慮し、移動距離、稼働台数、CO2排出量などを最小化する最適な配送ルートを高速で算出する。従来のシステムでは、1回の計算に数分から20分以上を要していたルート計算を、実証実験においてOptyLinerは5秒で完了した。計算速度の大幅な向上により、条件の微調整や繰り返しのシミュレーションが容易となり、受注の締め切りを早める必要がなく、空車の抑制にも繋がる。また配送計画の担当者の声を初期から取り入れたことで、直観的に操作できるユーザーインターフェースを開発し、先端技術を利用しやすくした。さらに、家具、建材、ネットスーパーなど、業種に応じた配送ルールや条件などをあらかじめ用意しており、物流現場の幅広いニーズへの柔軟に対応する。


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