【流 通】矢野経済研究所 物流工程における流通加工市場に関する調査を実施

矢野経済研究所は、国内における物流工程における流通加工市場を調査し、市場概況、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

調査では物流工程において、製品・商品の価値を高めるために主に倉庫内で行われる作業(製品・本体に対して行われる作業や、数量・容量・単位を変更する作業、外装等に対して行われる作業など)を対象として、市場規模を算出した。2023年度の物流工程における流通加工国内市場規模(事業者売上高ベース)は、1兆800億円と推計した。これは、物流総市場規模(※)である23兆4,015億円(2023年度見込)のうち、4.6%を占める。

近年、サプライチェーンの上流から下流まで、ワンストップサービスを提供する物流事業者が増えている。単なる輸送や保管といった従来型の物流機能(入出庫作業や保管業務など)にとどまらず、流通加工などの付加価値サービスも組み合わせて一気通貫の物流サービスを提供することで、より効率的で最適な物流体制を構築している。

輸送や保管が主要業務となる物流業において、流通加工は事業規模という観点ではメインになりえない。ただし物流機能拡大の一翼を担い、サプライチェーンの最適化を促進し、付加価値の創出に資する要素として注目されている。

注目される背景として、国内貨物輸送量の減少、輸送効率化ニーズの拡大、倉庫自動化の進展、EC化の進展が挙げられる。物流工程における流通加工は、物流事業者はもちろんのこと荷主企業にとっても、差別化・収益拡大を図る上で重要な機会となる可能性を秘めている。

2024年度の物流⼯程における流通加⼯国内市場規模は、前年度⽐102.8%の1兆1,100億円と予測する。物流⼯程における流通加⼯ニーズは、物流市場全体の増加に⽐例する部分(⾦額的要因を含む)はもちろんあるものの、これまでメーカーや⼩売業などの荷主企業が担っていた作業にも業務領域を拡⼤することで、輸送や保管といった従来

型の物流業務以上の伸びが期待される。

規模拡⼤に向けたポイントは、「サプライチェーンにおける流通加⼯の最適化」で、荷主企業においては、輸送効率、保管効率、作業効率、貨物量の適正化、製品・商品の価値向上(差別化)、リードタイム、作業⼈員の確保など、複数の要素を考慮して、全体最適の観点から業務の最適化を判断することが求められる。

これからの物流事業者の流通加⼯は、単なる請負作業にとどまらない。荷主企業の課題やニーズを把握し、サプライチェーン全体の効率化を推進する提案型ビジネスへと進化し、より⼀層拡⼤していくものと考えられるとしている。


※「物流15業種市場に関する調査を実施(2024年)」(2024年7月22日発表) 注.市場規模は15業種各市場の積み上げで算出、一部市場の重複を含む


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