【流 通】東京都など 誰もが安心して過ごせる「居場所」をつくるためのハンドブック作成

慶應義塾大学看護医療学部・環境情報学部、上智大学総合人間科学部、順天堂大学医療看護学部に所属する研究者で構成された研究チームは、誰もが安心して過ごせる「居場所(※)」を地域社会につくるためのハンドブックを作成した。研究チームは、東京都にあるさまざまなタイプの15か所の「居場所」を訪れ、「居場所」の運営者に開設の動機や想い、開設時の状況、現在の運営状況、活動の工夫、大事にしていることなどについてヒアリング調査を行った。その結果から、「居場所」をつくるためのステップとして、「仲間を集める」、「居場所を形づくる」、「居場所を支える」、「居場所を引き継ぐ」の4つに整理し、それらのポイントをわかりやすくまとめている。

このハンドブックはさまざまな課題を抱えた地域住民を支えることができる「居場所」を地域社会につくりたいと考える方々が活用しやすいようにつくられており、「居場所」を地域社会に増やしていくことに貢献すると期待される。この活動は令和6年度の「東京都と大学との共同事業」として行われた。ハンドブックは、東京都のウェブサイトにて公開されている。

さまざまな課題を抱えた子どもから、育児をしている人たち、高齢者、障がい者といった多様な属性を持つ地域住民の方々が増加していくなかで、「居場所(※)」を地域に数多くつくっていくことが求められている。例えば、高齢の方々に対しては、介護保険制度によって提供されているデイサービスなどが一つの居場所となりえるが、要介護認定を受けていない方にとっては利用が難しい場合がある。

子ども達に対しては、子ども食堂やフリースクールなどがさまざまな問題を抱える子ども達の居場所となっている。しかし運営者や団体の熱意や努力に頼っている場合が多く、寄付金等の運営資金が十分でないことや、運営者が高齢となることで活動継続が困難となり閉鎖せざるをえない状況が生じている。一方で地方自治体や民間企業、地域の民生委員の方々と協力するなど、他の組織・団体等と連携し、地域社会の人々とともに発展している団体もある。先駆的な「居場所」の取り組みを学ぶことで数多くの「居場所」を地域社会に増やしていくことにつながると期待される。


※ 「居場所」

研究チームでは、「居場所」を「子どもから高齢者まで、誰もが自己肯定感や安心感を持って落ち着いて過ごすことを目指す場所」としている


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