【知 識】伊藤忠商事 アイルランド企業に出資 航空機アフターマーケット事業参入
伊藤忠商事は、航空機のパーツアウト(※1)・中古部品販売・OEM部品販売(※2)・エンジンリース等を行う、アイルランドのKillick Aerospace(以下 Killick)に出資し、航空機アフターマーケット事業に参入した。
航空機の需要は、コロナ禍による航空旅客市場の大きな落ち込みからの急回復に加え、足元では、安定した成長が見込まれている。また一般的に、航空機は20年以上使用することが多く、各国の法制度に基づいた整備を実施することにより、安全性の担保が求められている。
整備においては、新造した部品に加えて、適切な検査や修理を行い航空当局の承認を得た中古部品の使用が年々増加しており、中古部品の需要は2032年に現在の約1.5倍となるおよそ110億米ドル規模になることが見込まれている(※3)。中古部品を使用することは、航空会社にとってコスト面のみならず、部品調達のリードタイムを短縮できるといったメリットに加えて、部品再利用による資源の有効活用という環境面での貢献も期待されている。
Killickは約20年に亘り、アイルランドを中心に米国、英国、シンガポール、オーストラリアに拠点を構え、航空機のパーツアウト・中古部品販売を中心とした航空機アフターマーケット事業を展開してきた。ボーイング航空機用のハネウェル製窒素生成システムなどの機器の販売も行っているほか、エアバスおよびボーイング製航空機向けの様々な部品を取り扱っている。また多くの航空会社・整備会社・製造会社とネットワークを持ち、高度な部品調達能力、在庫管理能力、グローバルな部品販売網を有していることで、今後の航空機整備の需要拡大に合わせてさらに成長していくことが見込まれている。
伊藤忠商事は自社単独で航空機リース事業を長年に亘り手掛けてきたが、航空機リース事業と航空機アフターマーケット事業は航空機のバリューチェーンの中で親和性が高く、今回の出資を機に、今後両社の強みを掛け合わせることで、より顧客ニーズに合致した高品質な部品の提供が可能になるとともに、民間航空機事業の拡大を目指す。
※1 パーツアウト
退役機体を解体し、エンジンや機体の適切な検査や修理を行う事で再利用が可能な部品を取り下すこと。修理された中古部品は航空当局の再認証を受け世界中の航空会社、整備会社、リース会社などへ販売し再利用される
※2 OEM部品販売
航空機部品メーカーの新品純正部品の販売
※3 Acumen Research and Consulting Reportより
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