【知 識】IHI・富士通・みずほ銀行 J-クレジットトータル支援事業開始に向け合意

IHI、富士通とみずほ銀行は、J-クレジット(※1)創出者の手続効率化および早期資金化を支援する「J-クレジット創出トータル支援サービス」開始に向け、MOU(覚書)を締結した。

現在、企業や団体がJ-クレジットを創出するためには、プロジェクト登録からJ-クレジット発行までの各フェーズにおいて様々な手続きが必要であり、そのために要する多大な時間と作業負荷が課題になっている。また創出後に販売先が見つからず、長期間資金化できないというリスクも内在している。

3社による共同事業は、今後急激に需要拡大が見込まれるJ-クレジットの創出量拡大を目的としている。IHIと富士通が開発する環境価値創出プロセス(CO2排出量などのデータ収集、報告、検証)をデジタル化する「MRV支援システム」(※2)と、みずほ銀行の持つネットワークを組み合わせることで、J-クレジット創出者に対して、課題となっている「創出手続きの負荷」および、「資金化までのリードタイム」の両面を解決する「J-クレジット創出トータル支援サービス」を開発する。そして、2025年度第1四半期中に、太陽光発電設備を導入することにより系統電力などを代替する排出削減活動を対象としたJ-クレジットの創出から提供を開始することを目指す。

「J-クレジット創出トータル支援サービス」では、IHIのJ-クレジット創出知見および、エンジニアリング知見による環境設備からのデータ取得ノウハウと、富士通のブロックチェーン技術や自動化技術により、高信頼なデータ管理・蓄積を実現するとともに、J-クレジットの創出に必要な申請手続きを効率化し、負担を軽減する。さらにみずほ銀行のネットワークおよび流通市場におけるプレゼンスを背景としたJ-クレジットの優先買取りスキームもワンストップで提供する。

IHIはエンジニアリング力とIoT活用により、顧客企業の設備稼働データの収集およびCO2削減量の算出並びにJ-クレジットをはじめとした環境価値の創出支援に取り組んでいる。「環境価値管理プラットフォーム」(※3)を活用して、創出プロセスのさらなるデジタル化を推進することで、信頼性の高い環境価値を効率的に創出する仕組みづくりを図る。これにより脱炭素社会の実現に向けたさらなる貢献を目指す。

富士通は、社会課題を起点とした事業モデル「Fujitsu Uvance」のもと、CO2削減の可視化・測定、最適化までを行い企業のESG経営の実現を支援する「ESG Management Platform」によって、J-クレジット創出時に収集したCO2削減量を含むESGデータをAIで分析することで、経営の高度な意思決定に必要なシミュレーションおよび、レコメンド機能を提供します。これにより顧客のサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)のさらなる加速を支援する。

みずほ銀行は、黎明期にあるカーボン・クレジット市場を金融機関として仲介することで、社会や顧客の脱炭素化の実現を目指しており、東京証券取引所のカーボン・クレジット市場において金融機関で唯一「ベスト・マーケットメイカー」を受賞するなど、J-クレジットの流通市場発展に向けて取り組んでいる。これにより、国内における脱炭素資金の循環を促すことで環境と経済の両立を目指す。

3社は共同事業を通じて、J-クレジット創出量の拡大を図るとともに、顧客の環境価値創出活動を事業機会に繋げることで脱炭素経営の加速を支援し、その先にあるサステナブルな社会の実現への貢献を目指す。


※1 J-クレジット

温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証したもの


※2 MRV支援システム

ブロックチェーンを活用したJ-クレジットのモニタリング・報告・検証等の業務の効率化に資するシステム。IHIと富士通は、2023年度環境省で行われた簡易創出基盤(現:MRV支援システム)を活用したクレジット認証のデジタル化に係る実証事業に参画し、企業などが容易に、CO 削減活動で創出した環境価値をJ-クレジット化できることを示した。なお両社は、2024年度も環境省の「J-クレジット制度におけるMRV支援システム運営事業者」に採択されている


※3 環境価値管理プラットフォーム

IHIグループ内外におけるデータを環境価値として蓄積、ビジネス化を促進するためのデジタル基盤"


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