【物 流】2023年度の運送業倒産345件 前年度比3割増 東京商工リサーチ

東京商工リサーチは、2023年度(4-3月)「道路貨物運送業」の倒産件数を発表した。倒産件数は345件(前年度比31.1%増、前年度263件)で、3年連続で前年度を上回った。年度単位で倒産件数が300件を超えたのは、2014年度以来9年ぶりとなる。

調査では中小・零細企業の苦境が浮き彫りとなった。資本金別では1千万円未満が253件(前年度比50.5%増、前年度168件)と全体の7割以上(構成比73.3%)を占めた。

また中堅規模の倒産が増加しており、10億円以上の大型倒産は前年度と同件数の5件だったが、5億円上10億円未満が16件(前年度13件)、1億円以上5億円未満が135件(前年度80件)と前年度を上回った。負債総額は595億9,100万円(前年度比36.1%増、前年度437億8,100万円)で中堅規模の倒産が負債総額を押し上げた。

燃料費の高騰などによる「物価高」関連倒産は、141件(前年度比76.2%増)と大幅に増加した。資源エネルギー庁が発表する軽油価格は、2024年3月末時点で1リットルあたり154.1円だった。2023年6月中旬以降は150円以上で推移しており、軽油価格の高止まりが続いている。こうした状況から、2023年度は2023年4月、5月、2024年1月を除く9カ月で「物価高」倒産が10件台となり、燃料費などのコストアップが各企業の採算性を悪化させる要因となっている。

下請業者が多い中小・零細企業では、「2024年問題」の対策が進まない企業も多いなか、価格転嫁の遅れから賃金アップの流れに追随できず、ドライバーの確保が難しい企業もある。燃料価格の高止まりによるコストアップでも企業体力を削られ、先行きの見通しが立たず、事業継続を諦めるケースが増加している。事業環境の改善が進まず、資金繰りが限界に達した企業を中心に今後も倒産が増加する懸念が高い。


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