【流 通】西松建設 アサヒ飲料とカーボンネガティブコンクリートを開発

西松建設はアサヒ飲料と、製造過程でのCO2排出量がマイナスとなるコンクリートの開発に着手した。アサヒ飲料の「CO2を食べる自販機」で、大気中のCO2を吸収した特殊材(※1)を活用し、コンクリートに練り混ぜることによって、CO2排出量がマイナスとなるカーボンネガティブなコンクリートを実現する。両社は十分な強度を有するコンクリート材料となることを確認し、実施工への適用に向けた取組みへと進める。

今回の取り組みは、アサヒ飲料が2023年6月から開始した自動販売機を活用したCO2の資源循環モデル構築に向けた実証実験の一環で、大気中のCO2を自動販売機で吸収し工業原料化する国内で初めての取り組みだが、回収したCO2をどのように貯留・固定化するかは、課題の1つとなっていた。

日本国内での生コンクリートの年間出荷量は約7,500万m3(2022年度 ※2)と言われている。例えば、その内の0.1%を開発中のコンクリートに置き換えるだけで、年間27万本の杉の木と同等のCO2削減効果(※3)を期待することができ、森林の広さでは東京ドーム約77個分に相当する。

今回開発されたコンクリートは、大気中のCO2を吸収した特殊材をコンクリート1m3あたり約200kg以上混和させ、特殊材をコンクリートに固定化させるとともに、製鉄所の副産物である高炉スラグ微粉末をセメントの代替原料として多量に使用する。その結果、一般的なコンクリートと比べて強度を低下させることなくコンクリートを製造することが可能で、実施工に適用可能な強度を問題なく発揮することができた。これによりCO2排出量がマイナスとなる、環境にやさしいカーボンネガティブなコンクリートが実現した。


※1 アサヒ飲料が、大気中のCO2を吸収する自動販売機を活用したCO2の資源循環モデルの実証実験を2023年6月から開始。吸収したCO2は肥料やコンクリートなどの工業原料に活用することを予定している

※2 全国生コンクリート工業組合連合会・全国生コンクリート協同組合連合会:全国出荷数量の推

移 2023年3月31日

※3 林齢56-60年の杉の人工林のCO2削減量を用いて、1ヘクタールあたり750本として試算


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