【知 識】三菱鉛筆 独・Lamyを連結子会社化

三菱鉛筆はドイツハイデルベルクに本社を置くLamyの全持分を取得し、連結子会社化する。

三菱鉛筆を取り巻く外部環境は、デジタル化の進展による筆記機会の減少、そして環境意識の高まりに伴う価値観の多様化などをはじめとする複数の要因によって、ますます不確実性が高まりつつある。このような背景を踏まえ、同社がこれまで営んできた筆記具事業を再定義し、「書く・描く」を通じてあらゆる人々のユニークを表現することを応援する「世界一の表現革新カンパニー」になることを「ありたい姿 2036(長期ビジョン)」として2022年に発表した。

三菱鉛筆は1887年(明治20年)に創業し、日本で初めて鉛筆の工業生産化に成功した。以来、「最高の品質こそ、最大のサービス」を社是として、高品質で高付加価値な筆記具を開発し、特に国内を中心に事業を展開してきた。他方、海外では直接の販路を持たず、各国の代理店を通じて商品を提供することで、ビジネスを展開してきた。そのため海外における効率的な販売は可能であったものの、海外のニーズに対して十分に応えきれていないという課題を抱えていた。

そのような中、「ありたい姿 2036」に掲げる"世界中あらゆる人々の個性と創造性を解き放つ"というコンセプトを実現するために、中期経営計画2022-2024において、「筆記具事業のグローバル化」を重点方針の一つとして設定し、海外への販売体制を整備するとともに、各拠点におけるマーケティング機能の強化に努めてきた。これらの活動を通じて、海外市場での販売実績を積み上げることができ、2023年12月期におけるグループ連結での過去最高売上高の更新という結果につながった。

他方、グローバルに事業を俯瞰(ふかん)してみると、当社のシェアは依然として拡大の余地があると考えており、とりわけ欧州市場におけるシェアは重要な事業戦略の一つであることから、さらなる販売体制の強化を目指している。

今回、Lamyの持分取得を通じて、この課題への取り組みを深化する。三菱鉛筆は持分取得により、海外における販売体制のさらなる強化、ブランド力・デザイン力・技術力の獲得などのシナジー効果が得られるとしている。


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