【流 通】NEXCO中日本 さびにくい新たな凍結防止剤を導入

NEXCO中日本は、富山県立大学、札幌市立大学と共同で、橋梁の鉄筋などの金属腐食抑制を目的として、プロピオン酸ナトリウムを活用した新たな凍結防止剤を開発してきた。今回、検証結果から従来の凍結防止剤と比べ、性能や作業性が変わらず、ライフサイクルコストが約10%のコスト低減が見込めることが確認できたため、2023年度冬期よりE8北陸自動車道(北陸道)やE41東海北陸自動車道(東海北陸道)の一部区間で導入する。これにより橋梁など構造物のさらなる長寿命化が図られ、安全性向上に寄与すると考えられる。

高速道路の冬期走行時の安全性を確保するため、主に塩化ナトリウム(塩ナト)を凍結防止剤として使用してきた。しかし1993年頃にスパイクタイヤが使用されなくなって以降、塩ナトの使用量が順次増加し、それに伴い橋梁などが塩害で劣化する事例が多く見受けられるようになってきたため、劣化抑制に有効な凍結防止剤が求められてきた。

そこで2015年度より、塩ナトに金属腐食抑制効果に優れるプロピオン酸ナトリウム(プロナト)を混合した新たな凍結防止剤の導入に向けた検討と現場への試験散布をおこなってきた。

プロナトは高価なことから、塩ナトとプロナトを重量比9:1に混合し、その性能を検証した結果、塩ナトと比べ凍結防止効果が同程度で、散布時の走行安全性や周辺環境(水質、臭気、植生)への影響や作業性に問題はなく、さらに金属腐食抑制効果があることがわかった。

2015年度からの試験結果および試験散布の実績から、新たな凍結防止剤と従来の塩ナトを、橋梁が多い区間(散布区間の橋梁延長比率が約6割)に散布した場合の100年間のライフサイクルコスト(凍結防止剤の散布に要する費用と鉄筋腐食による構造物の補修に要する費用の合計)について試算・比較をおこなったところ、新たな凍結防止剤のほうが約10%のコスト低減が見込めることがわかった。

このことから2023年冬期より北陸道の白山インターチェンジ(IC)〜金沢森本IC間、東海北陸道の白川郷IC〜小矢部砺波ジャンクション(JCT)間で導入し、今後、ライフサイクルコストなどを勘案しながら、同社他区間への導入を検討していく。


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