【知 識】商船三井 名古屋港水族館が行うアカウミガメの調査に協力

商船三井は名古屋港水族館が行うアカウミガメの回遊経路調査(※1)に、自動車船(船名:「GALAXY ACE」ギャラクシー エース)が海上輸送で協力した。2023年6月27日、名古屋港金城ふ頭でアカウミガメ25頭が GALAXY ACE に積み込まれ、現地時間同年7月11日に、乗船した水族館関係者2名により太平洋上で放流された。

この調査は、北太平洋中部の東端にいるアカウミガメが、海面が暖かくなるエルニーニョの年にはカリフォルニア沖に到達するという太平洋の熱回廊仮説(※2)を検証するため、名古屋港水族館が国内外の研究機関と共同で実施した。アカウミガメに取り付けた送信機から発信される位置情報から回遊経路を探ることで、絶滅の危機に瀕しているアカウミガメの生態を解明し、保護活動につなげることができる。今回、放流されたアカウミガメは、全頭が約2歳で甲長30cmから40cm、体重約8kgと比較的サイズが大きく、ふ化直後のカメと異なり外敵から襲われる可能性は低い。

商船三井グループは環境戦略を主要戦略の一つとして位置付けています。ネイチャーポジティブ(※3)に向けた国際的な機運が高まる中、グローバル・ネットワークを有する海運会社である同社は今回の取り組みを始め、海洋環境科学への支援を進める。


※1 名古屋港水族館が行うアカウミガメの回遊経路調査

通称「STRETCH」(Sea Turtle Research Experiment on the Thermal Corridor Hypothesis)

アカウミガメは世界の温帯、熱帯域に分布し、北太平洋における産卵場は黒潮の影響のある日本沿岸域にほぼ限られている。日本の海岸で孵化したアカウミガメは北太平洋中部まで移動することが分かっている。エルニーニョの年には太平洋を渡ってカリフォルニア半島沖まで回遊することが知られていたが、何時、どのようにして、どのような経路をたどって回遊するかはわかっていない。今回の調査を通じて追跡したアカウミガメの行跡と海洋環境のデータを詳細に分析することで回遊生態が解明でき、効果的な保護活動に寄与する。調査期間は令和5年7月から5年間


※2 太平洋の熱回廊仮説

太平洋の東にはダーウィンが提唱した「生物地理的障壁」が存在する。通常幼生から大型の遊泳種に至るまでの海洋生物の通過が妨げられているが、アカウミガメが北太平洋中部からメキシコのバハカルフォルニア沿岸に断続的に移動するメカニズム、つまり北太平洋中部とバハカルフォルニアの生息域をつなぐ「暖かい海水の道=熱回廊」が断続的に現れることを熱回廊仮説として提唱している


※3  ネイチャーポジティブ

自然再興。生物多様性の損失を止め、自然を回復軌道に乗せること


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