【流 通】大阪ガスと大林組 「建設工事向けAI気象予測サービス」の開発に着手

大阪ガスと大林組は、AI技術を用いた高精度な気象予測情報を建設現場で活用することで、安全で効率的な施工管理を支援する「建設工事向けAI気象予測サービス」の開発に共同で着手した。今後、2025年大阪・関西万博の開催予定地である「夢洲(ゆめしま)」で実証実験を行う。

建設工事では、雨天時には品質低下を避けるため屋外でのコンクリート打設工事を延期したり、強風時には吊り荷があおられるためクレーンによる荷揚げ作業を中止したりするなど、気象条件に合わせて工程を調整し、工事の品質と安全を確保する必要がある。また猛暑下における熱中症予防など、建設現場労働者の体調に配慮した対策を講じるためにも、気象情報を高精度に予測することが重要であり、大林組は複数の気象情報活用システム(※1)を開発してきた。

大阪ガスは2008年から独自の気象予測技術(※2)を開発・運用しており、気象条件の影響を強く受ける自社のエネルギービジネスへの活用や、AIの活用による精度向上などに取り組んできた(※3)。

そこで両社は2022年5月から共同で、気象が建設工事に与える影響および建設現場での気象予測ニーズに関する調査を開始するとともに、夢洲エリアを対象とし、過去の気象観測データを用い、予測の精度を評価してきた。その結果、建設現場で求められる気象情報の仕様および夢洲エリアの気象傾向をAIに学習させることで予測精度を高められる可能性があることなどを確認した。

さらに2022年12月に気象業務法が改正され、一定の条件を満たせば、気象予報士を介さずにコンピュータが自動で生成した気象予測情報を提供できるようになったため、大阪ガスも従来より高頻度で予測情報の提供できるようになった。今回開発に着手した「建設工事向けAI気象予測サービス」の具体的な取り組みは以下のとおりです。

今後、夢洲エリアの建設現場で「建設工事向けAI気象予測サービス」の実証実験を段階的に進め、実測の現地観測データとの比較や利用者へのヒアリングを通じて、有用性の評価を行う予定にしている。また得られた成果を他の建設工事にも広く展開・活用する。なお「大阪府・大阪市スーパーシティ構想」に掲げられている「夢洲コンストラクション」や万博期間中・終了後のさまざまなデータ連携を目指した「夢洲プラットフォーム(※4)」でも、気象予測の活用について検討していく。


※1 現場への落雷の危険性を判定・通知する雷警報システム「カミナリウォッチャー」や、現場内の複数箇所のWBGT(暑さ指数)を測定・見える化する環境モニタリングクラウド「SisMil」など


※2 予測対象地域を高解像度の小さなメッシュに区切ってデータ解析を行うことで地形影響などを考慮したきめ細やかな予測を行うことができるとともに、観測データに基づく機械学習も組み合わせて高精度化を図っている


※3 2018年には気象予報業務許可を取得し、社外向けの気象予測サービスを提供する体制も整えている


※4 内閣府によるスーパーシティおよびデジタル田園健康特区における先端的サービスの開発・構築等に関する調査事業に、「夢洲プラットフォームの構築」が採択された。大阪ガスと大林組は、事業を受託した夢洲プラットフォーム検討協議会の一員として、AI気象予測を検討


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