【流 通】東急建設 「積み上げ式CO2排出量算定」の仕組みを新たに公開

東急建設は独自の工夫を取り入れた「積み上げ式」(※1)の算定手法をもとに『積み上げ式CO2排出量算定シート』(※2)を開発し、2022年度より受注した新築建築工事において「積み上げ式」によるCO2排出量を社内で算定している。今回、その仕組みを新たに公開することにより、信頼性の高い評価結果を提供するとともに、同じ目的をもつ他企業への普及拡大を目指す。

現在、建築物における建築資材の製造時に発生するCO2排出量は、低炭素型資材の活用や各工事の排出量削減の取り組みを反映させるために、「概算式」から「積み上げ式」による算定ニーズが増加している。

しかしながら、一般的な「積み上げ式」による手順で建築物の排出量を算定しようとすると、数量の拾い出しやCO2原単位の割付に膨大な時間と労力が掛かる。そこで東急建設は、これらの業務を効率化・自動化するため、一定の精度を保ちつつも極力ルールを単純化することで、作業の効率化と算定誤差の最小化を実現した。具体的には見積内訳から数量が取り出しやすい26品目に限定することや排出原単位の事前整備、補正係数の利用などによって作業を効率化・自動化し、算定スピードを格段に向上させた。

これまでは『積み上げ式CO2排出量算定シート』の仕組みを社外秘としていたが、公開することにより、顧客からの理解が得られやすくなり、信頼性の高い評価結果を提供できるようになる。加えて、同じ目的で考え方に同意する他企業への普及拡大を目指していくことを踏まえ、シートの考え方や効率化・自動化された算定誤差を最小化する仕組みをWEB上で公開することにした。


※1 積み上げ式

資材ごとに排出量を算定して積み上げる方法。資材の種類が膨大である建設工事では、積み上げることが非常に煩雑であり、建設に関わる資材ごとの原単位が明確に定められていないことから算定は困難とされていた。低炭素型資材や排出量削減の取り組みの反映が重要視されている現在では「積み上げ式」によるCO2排出量の算定ニーズが高まっている。

建設資材のCO2排出量の把握には、「工事金額から算定する方法(概算式)」と「資材を積み上げて算定する方法(積み上げ式)」があり、「概算式」は工事金額に排出量原単位を乗じることによって、CO2排出量を算定する方法であり、工事全体が一式で算定されるため、低炭素型資材の活用など各工事の排出量削減の取り組みが反映されないという課題があった。


※2 積み上げ式CO2排出量算定シート

2022年2月に東急建設で独自ルールを設定し開発された。資材の種類が膨大であることに対して、90%以上の物量をカバーできるように重量割合の大きい資材をピックアップし、算定する資材を厳選している。また資材固有の原単位は、公的に開示されているデータを活用して、同社独自のデータベースを策定している


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