【知 識】京大とエプソン アートイノベーションとデジタル捺染を融合させる共同研究

京都大学大学院総合生存学館アートイノベーション産学共同講座(代表:土佐尚子特定教授)とセイコーエプソンは、土佐教授がこれまで推進してきた「アートイノベーション」とセイコーエプソンのデジタル捺染技術を融合させて新たなインクジェット技術の価値創造を目指すための共同研究を開始した。 

アートとデジタル捺染技術を融合した「アートをまとう」のコンセプトのもと、デジタル捺染の特長を生かした方法で、映像アートを布地に安定的に、かつ高画質に再現し、アーティスト個人がオリジナルデザインの服飾品を、必要な量だけ生産、販売できるビジネスモデルの実現を目指す。

セイコーエプソンはスクリーン等による従来の生地へのプリント方法(アナログ捺染)に対して、デジタル化されたイメージを高画質、高精度に直接布地へプリント、転写するデジタル捺染の技術を有している。同社のデジタル捺染技術は、精細なグラデーションや微妙な色調の再現が可能であり、刷版を必要としないため小ロット短納期の生産に適しているほか、水やインク、化学物質の使用量を大きく削減し環境負荷を低減する。

 両者はこれまで土佐教授のアートの代表作である「サウンドオブいけばな」(※)やその他のアート作品をデジタル捺染により服飾品という形にする、アートファッションの試作品を制作してきた。 

今後は、これまでの試作品を通じてさらなるデザインと品質の向上を図るとともに、ECサイトでこれらの作品の販売を予定している。服飾品の意匠性を芸術領域まで高める制作、ECサイトでの販売活動から得られるノウハウをもとに、デジタル捺染技術による分散印刷、消費地生産、小ロット、短納期、在庫削減、パーソナライゼーションを実現し、アーティスト個人でもオリジナルデザインの服飾品を、必要な量だけ生産、販売できるビジネスモデルの社会実装を通し、デジタル捺染を広く世界に浸透させ、環境負荷の少ない持続可能な社会の実現などを目指す。 


 ※ サウンドオブいけばな 鮮やかな色彩の絵の具などの粘性液体に音の振動を与えて、各種の色が融合しつつ飛び上がる様を毎秒2000フレームの高速度カメラで撮影したビデオアート。従来はアート作品としてギャラリーで展示するほか、プロジェクションマッピングなどの形でイベントにおいて展示する形態をとっていた 


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