【物 流】出光興産 蘭スタートアップ出資 電化電動化領域で新規事業創出目指す
出光興産は出光CVC(※1)を通じて、Maxwell and Spark(以下 m+s)に出資した。m+sは主に物流機能の電化・電動化をリードするスタートアップ企業で、リーファーコンテナ(※2)やフォークリフトなどに向けたリチウムイオン電池によるソリューションを欧米やアフリカに提供している。同社は本出資によりリチウムイオン電池を用いた幅広いビジネス領域に関する知見を習得し、新規事業創出の可能性を探索する。
物流におけるCO2排出量削減に向けた取り組みの一環として、電動車両の導入や車両に付帯する機能の電化が進んでいる。特に欧米では、政策による後押しや充電インフラの整備などにより、物流・配送における電化・電動化が推進している。このような中、m+sはリーファーコンテナの冷却機能の動力(軽油)やフォークリフトの動力(鉛蓄電池)のリチウムイオン電池への置き換え、定置用リチウムイオン蓄電池の設置などのソリューションを展開し、事業を順調に拡大している。
リーファーコンテナやフォークリフトはメーカーごとに設計・仕様が異なるため、リチウムイオン電池への置き換えが難しいという課題がある。m+sは、独自のコネクターとソフトウェアを開発することでこれに対応し、バッテリー交換作業の工程の最小化を実現している。また低電圧の電池を用いたシステムを採用することで、安全性を向上させている。
出光興産は全固体リチウムイオン二次電池(全固体電池)の材料となる固体電解質の開発に取り組むとともに、リチウムイオン電池の周辺材やリサイクル・リユース、リチウムイオン電池を活用したサービス・ソリューションといった、電化・電動化に関連する新規事業機会に着目している。今回のm+sへの出資を通じ、リチウムイオン電池を用いたサービス・ソリューションに関する知見を深め、電化・電動化分野における事業機会を追求し、国内外の同社施設において、同社製品・サービスを活用したフォークリフト電動化の運用実証を行うことも検討する。
出光興産は今後も出光CVCによる出資を通じたスタートアップ企業との連携により、革新的な技術やアイデアを活用し新たな価値の創造や社会課題の解決に取り組む。
※1 CVC(Corporate Venture Capital)
既存事業とのシナジーや新規事業創出を目的として未上場の新興企業(スタートアップ)に出資や支援を行う活動。コーポレート・ベンチャー・キャピタル
出光CVCはカーボンニュートラル・循環型社会の実現に貢献するため、「低炭素エネルギー」や「先進マテリアル」分野の「革新的な新技術」に戦略的な投資を行う組織。オープンイノベーションの取り組みを加速させるため、2024年7月に出光興産内に設立
※2 リーファーコンテナ
通常の貨物コンテナとは異なり、冷却装置と断熱材を内蔵することで温度を一定に保つことのできる冷凍・冷蔵コンテナ。生鮮食品や医薬品などの輸送に適する
・製品名および会社名などは、各社の商標または登録商標です
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