【流 通】ピアノの発音機構を演算し音源生成する物理シミュレーション・システム開発

ヤマハはピアノの発音機構を物理シミュレーションによりリアルタイムで演算し、音響信号を生成する新たなシステムを開発した。また、このシステムを搭載した電子ピアノの試作機を静岡県浜松市に寄贈した。

今回開発されたシステムには、ピアノの発音機構をデジタル領域で再現する物理シミュレーション技術が用いられている。同システムを搭載した電子ピアノは、ピアノの構成部品(ハンマー、ダンパー、弦、響板、フレーム、支柱など)および空気の相互作用を考慮した精緻なシミュレーションをリアルタイムに実施することで、鍵盤およびペダルの操作に応じた多彩な音楽表現を可能にする。

従来の電子ピアノはアコースティックピアノの音を録音して音源とするサンプリング方式が主流だった。これに対し、開発されたシステムはピアノの構成部品および空気の力学的な現象を数値的に解析する3次元の有限要素法および境界要素法を用いることで、ピアノと空気の挙動をリアルに再現し、音響信号をリアルタイムで生成する。

ヤマハは先進的かつ独創的な音響技術の周知と楽器文化の継承を目的として、同システムを搭載した電子ピアノ試作機を浜松市に寄贈した。寄贈された試作機は浜松市楽器博物館にて管理され、一般公開される予定になっている。


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