【流 通】三重大学など サブ・サハラアフリカのコメ生産技術を改善する発見
三重大学などの研究グループ(※)は、サブ・サハラアフリカのコメ生産技術向上につながる重要な発見をした。
アフリカでは、コメが穀物消費量の約30%を占め、トウモロコシに次ぐ主要な作物種です。コメの消費量はアフリカ全体で増加傾向にあり、飢餓を減らすためにもコメの増産は非常に重要です。サブ・サハラアフリカは半乾燥地帯が多く、日本のように水を張った水田ではなく、畑で稲を育てる陸稲が大きな栽培面積を占めている。コメ増産のためには、陸稲の肥料・水資源の適切な管理が求められている。
そこで研究グループは、半乾燥ケニアにおいて2年間にわたって陸稲栽培試験を実施し、10aあたり窒素肥料7.5kgで最高収量となる一方で、15kgまで窒素肥料を増加させると、収量が低下する事実を発見した。さらに驚くべきは、窒素肥料とスプリンクラー灌漑(水供給)の組み合わせで増収するという一般常識に反して、「高窒素×灌漑」で減収が助長されることを立証し、そのメカニズムも解明した。これらの新知見は、肥料と灌漑の組み合わせが相乗効果を生み出すという常識の見直しを迫るとしている。
サブ・サハラアフリカの陸稲は生産者の経験に依存して生産されてきたが、今回の研究成果は科学的な根拠に基づいた陸稲栽培技術の指針確立に大きく貢献することが期待される。その技術指針は、共同研究の構成員である、ケニア農業畜産研究機構(ケニア)やダルエスサラーム大学(タンザニア)のネットワークを通じて、直接的に東アフリカ諸国へ普及することが期待される。三重大学と JICA は、国際資源植物学研究室の在学生や卒業生を海外協力隊としてガーナへ派遣しており、この連携派遣を通じて西アフリカ諸国への技術普及も期待される。
※ 三重大学大学院生物資源学研究科の関谷信人教授と近藤誠准教授、名古屋大学農学国際教育研究センターの槇原大悟准教授、東京農業大学農学部の菊田真由実准教授、ダルエスサラーム大学農業・食品工学部のムチュノ・アルフレッド・ピーター講師、ケニア農業畜産研究機構工芸作物研究センターのエミリー・ワリンガ・ギチュヒ研究員とダニエル・マコリ・メンゲ研究員の研究グループ
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