【知 識】カヤックとトランビ プラットフォーム「スマウト」「TRANBI」で提携

カヤックとトランビは、カヤックが運営する地域とつながるプラットフォーム「スマウト」事業において業務提携を締結した。後継者を探す地域の中小企業・商店と、「地域で働きたい・暮らしたい」移住希望者とのマッチングを強化する。地域で続いてきた企業や商店が、地域外の人に受け継がれ、その思いも大切に引き継がれていく「"エモい"事業承継」をコンセプトに、事業承継という地域との新たな関わり方を提案し、後継者不足による廃業の危機という地域課題の解決を目指す。

2025年には、国民の5人に1人が75歳以上となる「2025年問題」が本格化し、全国的に事業承継への影響が懸念されている。

中でも厚生労働省の報告によれば、企業の約99%を中小企業が占める「地方」(東京都、神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県を除く道県をいう)では、その深刻さが際立っている。地域の雇用や暮らしを支える存在である一方、2023年時点で中小企業の約半数が後継者不在という状況にあり、将来を見据えた"担い手探し"が地域経済の持続に直結する課題となっている。

さらに、近年では黒字経営でありながら後継者が見つからず、やむを得ず廃業を選択する企業が増加している。2024年には全国で6万9,019件の企業が休業・廃業・解散しており、前年から約1万件(16.8%)の大幅に増加した。そのうち資産が債務を上回る「資産超過型」企業は65.1%、直前期に黒字だった企業は51.1%。黒字かつ資産超過の状態で廃業に至った企業は、全体の16.2%にのぼる。

カヤックの「スマウト」は2018年のサービス開始以来、地域と関わりたい人と自治体・地域事業者をつなぐプラットフォームとして展開してきた。移住に加え、地域企業への就職、副業・複業、事業承継など「地域で働く」こと、さらには二地域居住・多拠点生活、農泊・地域ボランティアなど「地域で暮らす・体験する」ことなど、さまざまな「地域との関わり方」を支援している。

一方、トランビが運営する「TRANBI」は、2011年に日本初のM&Aマッチングプラットフォームとして誕生し、累計会員数は20万人を突破した。事業の売り手と買い手をスムーズにマッチングさせ、後継者不足の解消に貢献してきた。

今回の提携により、両社の強みを掛け合わせた「地域×事業承継」のアプローチを通じて、事業承継を「地域と関わるきっかけのひとつ」として改めて位置づけ、移住と事業承継に関する情報提供やマッチングの幅をさらに広げていく。また、単なる事業の継承にとどまらず、事業者の想いや地域への愛着までを引き継ぐ「"エモい"事業承継」を実現し、持続可能な地域経済の形成に貢献する。


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