【流 通】パナソニックと大阪メトロ 冷暖房した空気を逃さない待合ブースの実証開始

パナソニック 空質空調社(以下 パナソニック)と大阪市高速電気軌道(以下 大阪メトロ)は、駅ホームの暑熱、寒冷対策として、パナソニックの気流制御技術により、前面開放型でも冷暖房が可能な日本初(※1)の「駅待合ブース」を大阪メトロ中央線朝潮橋駅に設置し、2025年2月7日に実証実験を開始した。個室型の駅待合室に比べて奥行を約50%削減(※2)すると同時に、前面開放型でも1席あたりの消費電力は同等を維持(※3)する。これまでホーム幅の問題などで空調の効いた駅待合室を設置できなかった場所でも、安全・安心、快適に使える待合スペースの提供を目指す。

昨今、気候変動の影響で特に日本の夏期における平均気温が上昇し、1898年の統計開始以降最も高くなる中で、熱中症死亡者数は右肩上がりで増加しており、屋外での暑熱対策は喫緊の課題となっている。一方で駅ホームにおける暑熱対策として一般的な個室型の駅待合室は、インバウンドによる人流の増加などもあり、安全性の観点から、スペースの限られるホームへの設置が容易ではなかった。

パナソニックと大阪メトロは、空調機と送風ファンを組み合わせ、前面開放型の駅待合ブースを開発した。パナソニック独自技術で作り出したゾーニング気流が、空調した空気を人の周囲から外に逃さないように包み込む。内部にある気流をコントロールするダンパーを切り替えることで、夏は冷風を上半身に直接当てて体感温度を低下させ、冬は温風を足元から吹き出し暖かさを感じさせる。個室型に必要な扉や中の移動スペースが不要で、個室型に比べて奥行を約50%削減し、ホーム上の歩行スペースを確保することで、ホームの狭い駅でも設置できるようになる。さらに1席あたりの消費電力は、前面開放型でも個室型と同等を実現している。

今回、大阪メトロの高架駅(屋外ホーム駅)である朝潮橋駅に、4席分の駅待合ブースを設置し、2025年2月7日から2025年9月まで実証実験を行う。冬期と夏期の両方の期間で、利用者アンケートとともに、温度、消費電力など各種センサーを用いて測定し、利用者の体感と実際の温度の関係性を検証する。


※1 国内の駅ホームにおける冷暖房機能を有した待合室として。2025年2月現在 パナソニック調べ

※2 個室型待合室(席数:5席、奥行:2,480mm)と、今回開発した駅待合ブース(席数:4席、奥行:1,297mm)との比較

※3 外気温4℃において体感温度が24℃に達する条件下でシミュレーションした、個室型待合室(席数:5席、1席あたりの消費電力:0.43kW/席)と、今回開発した駅待合ブース(席数:4席、1席あたりの消費電力:0.43kW/席)の比較


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