【流 通】東京工科大学 音響シミュレーション技術で多様な"聴こえにくさ"を模擬体験

東京工科大学メディア学部は、科学技術振興機構が主催する科学と社会をつなぐイベント「サイエンスアゴラ2024」(同年10月26日・27日、東京・お台場)に、聴覚障害への理解促進のための体験型コンテンツ「サイレント・コミュニケーション」を出展する。

聴覚障害支援メディア研究室(吉岡英樹講師)が、"聞こえる人に聴覚障害をどう理解してもらうか"という社会課題に対して、聴覚障害当事者である演習講師や学生らの協力のもと、音響シミュレーション技術などを応用したコンテンツとして開発した。また直感的にわかりやすい10分程度の内容にすることで、幅広い人々に障害への理解を深める"第一歩"となることをねらいとしている。

難聴といっても人や環境によって聴こえ方はさまざまであることを体感できるように、このコンテンツではヘッドホンを装着し、聴こえにくさの度合いやバイノーラル録音システム(立体音響)による片耳難聴、カクテルパーティー効果といった周囲の環境による聴こえ方の違いを模擬体験したり、参加者同士でのミュニケーションや手話講座なども取り入れている。2023年のイベントでも高い評価(※1)を得たほか、立教女学院中学校・高等学校など教育現場と連携したワークショップ等の取り組みも行われている。

2024年4月より「改正障害者差別解消法」が施行され、障害者への合理的配慮の提供の義務化が民間企業等にも適用された。一方で聴覚障害は周囲に気づかれにくい障害と言われ、職場でのコミュニケーションに問題を抱えている。この研究では、障害者の就業支援を行なうゼネラルパートナーズと連携(※2)し、聴覚障害者を雇用する企業での利用を想定した「オフィスバージョン」を開発し、今回のイベントで初めて一般公開する。現在ゼネラルパートナーズと連携し、ワークショップ素材としての試用が進められている。


※1 参加者約200人へのアンケートでは「聴覚障害について理解できたか」の問いに98%が5段階の4〜5評価を選択

※2 東京都との協定の下、障害者や高齢者の課題解決を支援するコミュニティ「Inclusive Hub」を運営するThe Elementsの協力による


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