【知 識】NECと住商 農業ICTプラットフォームのグローバル拡販で協業
日本電気(NEC)と住友商事は、NECの農業ICTプラットフォーム「CropScope(クロップスコープ)」のグローバル拡販に関する戦略的パートナーシップ契約を締結した。パートナーシップに基づき両社は、住友商事の有するグローバルネットワークを活用して、主に南米やASEAN地域などでの市場開拓を目指す。これに向けてNECは、重点を置く対象作物をこれまでのトマトから広げるとともに、栽培から収穫、加工に至る一連のプロセスの最適化と効率化を図る機能を追加する。パートナーシップにより、まずはタイやブラジルの大手製糖企業向けに、CropScopeのトライアル導入を進めている。
人口増加や経済発展により世界的な食料需要の増加が予測される中、気候変動の進行が農作物の生産に深刻な影響を及ぼすことが懸念されている。また近年のパンデミックや世界情勢の不安定化は、農業資材の価格高騰や輸出の停滞を引き起こし、食の安定供給が脅かされている。
世界規模での食料安全保障の確保には、農業生産性を向上させることが欠かせず、農業を基幹産業とする国々では、生産技術の高度化と営農管理の効率化が課題となっている。
住友商事は世界65カ国に地域組織ネットワークを持ち、約40カ国にて農薬・肥料など農業資材の販売・ディストリビューション事業を展開している。パートナーシップでは、そのグローバルネットワークを活用して、CropScopeの販売地域をまずタイ・ブラジル・インドに拡大し、事業成長を目指す。
CropScopeの販売戦略で重点を置く作物を、加工トマトに加え、サトウキビ、小麦、大豆、とうもろこしと、拡大した。このたび追加した作物に対しAI機能を強化し、過去の営農データや収穫データを学習させ、最適な収穫時期・量を推奨するとともに、収穫の計画と実績を管理する「収穫計画機能」も追加する予定にしている。この機能と従来からの施肥・灌漑の最適化を組み合わせることにより、栽培から収穫、加工までを包括的に管理することが可能になる。
今後、NECはこれまでCropScopeを継続的に機能強化するとともに、さまざまなパートナーと連携し、農業生産の多様なニーズに応えてきた。農業・食分野でグローバルに幅広いネットワークと豊富な知見を持つ住友商事とのパートナーシップは、CropScopeのグローバル拡販における重要なマイルストーンになる。
住友商事は、既存の農業・食分野でのビジネス基盤の拡大に加えて、次世代技術を活用し高効率・低環境負荷でサステナブルな食料生産に貢献しうる新規事業の開発にも注力していり。その中でも、農作業のオートメーションやデータ解析技術などを活用して安全で高効率な食料生産の実現に貢献するスマートファーミング分野は重要テーマの一つであり、農業やそれ以外の分野でもAI技術を確立しているNECと協業する今回の取り組みは、重要な取り組みと考えている。
今後も両社では、農業生産・加工現場の課題やニーズを拾い上げながら、CropScopeの対象作物や機能を拡大することで、環境に優しく収益性の高い営農をグローバルに支援する。
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