【知 識】MetComとJAXA 「地上波方式測位システム」で共創活動を開始

MetComと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA 宇宙イノベーションパートナーシップ(以下 J-SPARC ※1)」の枠組みのもと、「地上波方式測位システム」に関する共創活動を開始した。

共創活動では、MetComが提供計画中の都市部で地下・屋内・屋外問わずシームレスな位置情報の提供を可能にするMBS(Metropolitan Beacon System)三次元測位サービスに、センチメータ級測位補強信号を活用した高精度単独測位「MADOCA-PPP(※2)」による時刻同期情報を組み込むことで、地上波測位の精度に寄与する基地局間の時刻同期精度の2桁向上を目指す。

また、MetComが建設する地上基地局の衛星信号受信アンテナに対して、JAXAが研究開発を進めるアレイアンテナ技術(※3)を組み込むことで、耐干渉性を高め、安全性を向上させます。本共創により、屋内外、地下から地上・高層階まで三次元的にシームレスかつ、高精度で安全な位置情報の提供を目指す。


※1 JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC) 

J-SPARC(JAXA Space Innovation through Partnership and Co-creation)

宇宙ビジネスを目指す民間事業者等とJAXAとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発・実証等を行い、新しい技術を獲得し、新しい事業を創出する共創型研究開発プログラム。

2018年5月から始動し、これまでに約40のプロジェクト・活動を進め、民間事業者による食、生活用品、教育、VR、エンタメ、アバター、通信、小型衛星コンステ事業の事業始動(商品化・サービスイン)にも貢献しています。事業コンセプト共創では、マーケットリサーチ、事業のコンセプトの検討などの活動を、事業共同実証では、事業化手前の共同フィージビリティスタディ、共同技術開発・実証などの活動を行う

 

※2 MADOCA-PPP

(Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis-Precise Point Positioning) 

MADOCAはJAXAが開発した複数GNSS対応高精度軌道時刻推定を実現するソフトウェア。 

MADOCA-PPPは、MADOCAにより生成された補強情報により、cm級測位を実現するための、高精度測位補強サービス。内閣府が準天頂衛星システムから配信するサービスは2024年から正式サービスを開始予定。JAXAは、MADOCAの機能性能改善と共に、MADOCA-PPPを用いた様々な高精度測位利用技術を支えるために必要な技術開発を実施している

 

※3 アレイアンテナ技術 

アレイアンテナを使用した耐干渉性を向上する技術。JAXA航空技術部門航空安全イノベーションハブ、三菱プレシジョン、中部大学、大阪公立大学、長野工業高等専門学校が、共同研究「CRPA技術を応用したGPS干渉信号抑制の実用化に向けた研究」のもとで研究開発に取り組んでいる


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