【物 流】大日本印刷 エー・スター・クォンタムと資本業務提携

大日本印刷は、量子コンピューターのソフトウェアを開発するエー・スター・クォンタムと資本業務提携をした。資本業務提携により両社は、最適な解を膨大な組み合わせの中から求める「最適化問題」に特化した計算技術である「量子アニーリング」をはじめとした、様々な量子コンピューティング技術や手法を活用し、製造・物流などの生産計画や配送経路の「組合せ最適化」を高速で処理するソフトウェアを開発・提供する事業を推進していく。

資本業務提携の背景には、デジタル化・ネットワーク化が進む現在、大量のデータを高速に処理するニーズの高まりがある。交通渋滞の解消や最適な物流経路の計画、企業の生産計画や人員配置の最適化や、投資のポートフォリオ分析などのニーズに対して、膨大な選択肢から最適な解を抽出する「組合せ最適化」が有効とされている。

この「組合せ最適化」の高速化などで量子技術の活用が進行しており、多様な企業のDX推進の中で、国内量子コンピューター市場規模は2025年度の約550億円から、2030年度には約6倍の2,940億円規模になると予測されている。

これまでにも大日本印刷は2021年に「組合せ最適化問題」を高速で処理する「DNPアニーリング・ソフトウェア」を開発するなど、アニーリング手法を活用した社会課題の解決に取り組んできた。一方、エー・スター・クォンタムは、2018年の創業以来、特に物流や広告関連の「組合せ最適化問題」を解くための研究開発を行い、量子コンピューターのゲート方式とアニーリング方式の技術確立やソフトウェア開発などを展開している。

両社は組合せ最適化技術を活用し、大日本印刷の工場内における生産工程の予定作成の時間削減や効率化を目指す実証実験を行うなど、量子技術の共同研究や開発に取り組んできた。

今後両社は、製造・物流業界向けに提供するソリューションの開発や企業・団体等のニーズに対応可能な体制を構築するなど、社会への量子技術の実装を目指していく。また、「組合せ最適化問題」を高速で解くDNPアニーリング・ソフトウェアなどの提供を通じて、物流業界が直面する2024年問題をはじめとした人手不足の解決や、製造現場のDX推進、生産性向上に貢献していくとしている。


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