【知 識】荏原製作所と日本大学 培養肉製造で共同研究を開始

荏原製作所は、脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cells以下 DFAT ※)の開発者である日本大学生物資源科学部の加野浩一郎教授と、培養肉製造を目的とした共同研究を開始した。

近年、細胞培養技術を用いた新しい食料生産方法の細胞農業が世界中から注目されている。将来的な人口の増加に伴い、タンパク質不足などの食料問題が懸念されているが、伝統的な畜産や農業による生産だけでは課題を解決することが難しいと言われている。また生産を拡大することで、温室効果ガスの排出の増加、水産資源の枯渇といった環境面や、アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点での課題が存在する。

日本大学・加野教授は、成熟脂肪細胞を自発的に脱分化させることによって、種々の細胞に分化転換する新規の多能性細胞DFATを開発した。DFATは食肉加工の過程で廃棄される脂肪組織から大量かつ安定的に製造ができ、筋細胞および脂肪細胞に分化可能で、培養肉をはじめ、細胞農業のさまざまな用途で安定的な細胞ソースとしての活用が期待されている。荏原製作所は、これまで培ってきた流体制御技術や装置機器設計ノウハウを活用したDFAT大量製造装置を設計開発し、細胞農業事業の実現を加速させていく。

荏原製作所はDFAT大量製造装置と大量培養装置の開発により、細胞生産技術の合理化を実現し、細胞農業が広く社会に普及することを目指す。


※ DFAT

終末分化した成熟脂肪細胞を培養して自発的な脱分化を誘導することによって作製された細胞であり、高い増殖能力と、骨、軟骨、血管、筋および神経細胞などへ分化転換する多能性細胞。日本大学・加野浩一郎教授がDFATを開発し、主に医学領域での活用が検討され、日本大学を中心に、細胞治療の臨床応用に向けた研究開発が推進されている


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